ACミラン歴代移籍金ランキングTOP100：25/26シーズンまでの大型補強の歴史を分析

重要ポイント

時代を反映する移籍戦略の変遷

• 2000年代初頭の黄金期: ルイ・コスタやネスタなど、実績あるスター選手を高額で獲得し、即座に結果に繋げる戦略で国内外のタイトルを総なめにした。
• 2010年代後半の混乱期: オーナー交代などが重なる不安定な経営状況の中、ボヌッチやアンドレ・シルバなど大型補強を敢行するも、投資に見合う結果を出せないケースが目立った。
• 近年のデータ重視戦略: レオンやトモリの成功に代表されるように、データとスカウティングを駆使して将来性豊かな若手を発掘・育成する持続可能なモデルへと転換し、再び成功を収めている。

高額移籍の成功と失敗の教訓

• 成功例: ラファエル・レオンやルイ・コスタのように、高額な投資が選手の成長やチームのタイトル獲得に直結し、投資以上の価値を生み出したケースがある。
• 失敗例: レオナルド・ボヌッチやアンドレ・シルバの例は、選手の能力だけでなく、クラブのビジョンやチーム戦術との相性が、大型補強の成否を大きく左右することを示している。
• 戦略の重要性: 単に資金を投じるだけでなく、明確なビジョンと長期的な計画に基づいた補強戦略が、クラブの成功にとって不可欠であることが歴史から読み取れる。

上位ランキング

1位 ラファエル・レオン €4950万

19/20シーズンにフランスのLOSCリールから加入したポルトガル代表ウインガー。ACミランの歴代最高額の移籍金を記録した。加入当初は適応に時間を要したが、ステファノ・ピオリ監督の下で才能が開花。圧倒的なスピードとドリブル突破を武器に、左サイドの絶対的なエースとして君臨し、21/22シーズンのセリエA優勝に大きく貢献し、同シーズンのリーグMVPに輝いた。彼の成功は、近年のミランが推し進める「若く才能ある選手への投資」という補強戦略を象徴する最大の成功例と言える。

2位 レオナルド・ボヌッチ €4200万

17/18シーズン、長年のライバルであったユヴェントスから電撃的に加入したイタリア代表DF。当時の新オーナー体制の象徴として大きな期待を集め、キャプテンにも任命された。しかし、チームは不安定な戦いを続け、ボヌッチ自身も本来のパフォーマンスを発揮するには至らなかった。サポーターとの関係も複雑化し、わずか1シーズンで古巣ユヴェントスへ復帰。期待が大きかっただけに、ミランの近年の補強史において最も物議を醸した移籍の一つとして記憶されている。

3位 ルイ・コスタ €4132万

01/02シーズンにACFフィオレンティーナから加入した、ポルトガルサッカー史に残る伝説的なゲームメーカー。「マエストロ」と称された卓越したテクニックと広い視野を持ち、カルロ・アンチェロッティ監督が率いたチームの攻撃のタクトを振るった。アンドリー・シェフチェンコやフィリッポ・インザーギといった名ストライカーと抜群の連携を見せ、02/03シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ制覇など、数々のタイトル獲得に貢献。彼の移籍は、ミランの第二期黄金時代の幕開けを告げる象徴的な補強だった。

4位 ルーカス・パケタ €3840万

18/19シーズンの冬、ブラジルの名門CRフラメンゴから「カカ2世」との呼び声高く加入した攻撃的MF。デビュー当初はテクニックの高さを見せつけ、サポーターの期待を集めたが、セリエAの戦術的なサッカーへの適応に苦しみ、パフォーマンスが安定しなかった。監督交代なども影響し、本来の輝きを放つことができないまま、20/21シーズンにフランスのオリンピック・リヨンへ移籍。リヨンでは才能を完全に開花させたため、ミランにとってはポテンシャルを引き出しきれなかった惜しいタレントとなった。

5位 アンドレ・シルバ €3800万

17/18シーズンにFCポルトから大きな期待と共に加入したポルトガル代表ストライカー。ボヌッチらと共に、当時の大型補強の目玉の一人だった。しかし、セリエAではゴールを量産できず、リーグ戦での得点はわずか2ゴールに終わった。その後、セビージャやフランクフルトへのレンタル移籍を経て、完全にミランを離れることになった。フランクフルトではブンデスリーガで得点能力を開花させただけに、パケタ同様、ミランではタイミングや環境が合わなかった悲運のストライカーと言える。